と聞かれて、私は答えました。
「先生は・・・」ゴクッという音が聞こえそうなくらいでした。
「・・・厳しいです。」
「えーっ。」
「そして、やさしいです。」
「えーっ。どっち?」
「その両方です。」
「????」
ところで、正直言って私は自分にも他人にも甘いです。
教師になってすぐに、私はそれに気が付きました。教師になったばかりの頃、子供のためには厳しさも必要と頭では分かっていましたが、実際にどうすれば良いのか分かりませんでした。今振り返れば、子供への意地悪でしかないようなこともやりました。
それらを厳しさと思っていたのです。
ですが、それらは厳しさとは全く別のものです。
本当の厳しさは、怒ったり怒鳴ったりたたいたりすることとは、全く無縁です。
では、本当の厳しさとは何でしょうか?
私は、それを3つのキーワードで考えたいと思います。
一貫性と継続性、尊厳、愛情の3つです。
本当の厳しさとは、まず第1に一貫性と継続性があることです。
決めたことを貫きやり通すことです。
決まりや約束を適用するに際して、時と場合によって基準がぶれてはいけません。
時々の気分や感情で対応が違ってはいけません。
機嫌の良いときも悪いときも、同じ基準で対応することが大切です。それをずっと続けることです。
逆に、甘さとは、基準が曖昧で一貫性がないことです。例えば、子供に夕食後の歯磨きを習慣づけたいとしたら、どうしたら良いでしょうか?そうしたら、毎日必ずやらせなければなりません。そして、それを継続することです。
そのためには、親がまずそういう約束をしたということをいつまでも覚えていることが、まず第一に必要です。
ところが、これがなかなかできないのです。
そうです、まず、大人の方が忘れてしまうということが最大の問題点なのです。
まず大人の方が忘れてしまい、子供もやらなくなります。
そして、しばらくして先に思いだした大人が子供を叱るというのが、お決まりのパターンです。
この時、厳しさを勘違いしている人は、怒ったり怒鳴ったり体罰を加えたりします。
自分も忘れていたことなど、すっかり棚に上げてしまいます。
ですが、これ程本当の厳しさから遠いものはありません。
このような勝手で感情的な対応は、厳しさの対極にあるものです。
それでも、平気で子供だけ攻められるのは、教育のためという言い訳があるからです。そのためには何かしらの工夫をすることです。
私自身の工夫を紹介します。
今、毎日学級園の水やりと草取りをさせています。
毎日必ず実行させるために、朝の会の中にそのチェックの時間を組み込んであります。「今朝、水やりと草取りをした人は手を挙げてください。
まだの人は手を挙げてください。
3時間目が始まる前に必ずやってください。」
そして、帰りの会の時にまた司会が聞きます。
それで、やってない子には、すぐにやるように言います。
今のクラスの子供たちには、これで十分です。
大変なクラスの場合は、もう少ししつこくやることになります。
このように、生活のシステムの中に組み込んであるので、毎日必ず実行できます。・「食べたら磨こう。いただききます。」と言ってから食べ始めるようにする。・食器と一緒に歯磨きセットを食卓に並べる。私のクラスでは、大切なことや基準は明文化して見えるところに張ってあります。例えば、宿題や持ち物を忘れたらどうするかということが明文化してあります。先生の機嫌によって対応が違うということもありません。
夕食後の歯磨きなら、「食べたら磨こう。」と書いて張っておくだけでも効果があると思います。
システム化や明文化などのいろいろ工夫をして、一貫性と継続性を持たせることが大切です。
これが、厳しさの一つの形です。
私が自分の甘さを見つめながらたどり着いた一つの結論です。
ぜひ、ご家庭でも試してください。
第2に、尊厳です。内心馬鹿にされていたり、自分たちと完全に同レベルと思われていたら、厳しさなど出しようがありません。
大人でもそうでしょう?
尊敬に足る人に言われれば、その言葉には重みを感じます。
同じことでも、尊敬できない人に言われたら、聞きたくもないと思うはずです。
先程書いたような身勝手で感情的な対応は、子供の尊敬を失うための最も有効な方法です。感情のままに怒ったり怒鳴ったりたたいたりする大人は、必ず心の中で子供に軽んじられます。そして、さらに子供を尊敬できるようになれば、子供はその大人を大変尊敬するようになります。
第3に、愛情です。子供は面従腹背するだけです。
何の教育的効果もありません。
そんな厳しさには何の価値もありません。心のつながりを子供が感じているときだけ、教育的な効果があるのです。
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